船木 芳朗
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船木の音沙汰
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マセラティをよく見かけるようになった理由
創業100年以上のスーパーカーブランド

マセラティをご存じだろうか
フェラーリ、ランボルギーニと同じくイタリアのモデナという片田舎を発祥とするスーパーカーブランドだ
1914年創業という100年以上の歴史を持つ老舗で、現在は4ドアスポーツセダンの「クアトロポルテ」(イタリア語で4ドアの意味)、「ギブリ」に加えて2ドアクーペの「グラントゥーリズモ」、オープンタイプの「グランカブリオ」などのモデルをラインナップする

2015-12-07モーターショー (2)


いずれも流麗で独特なスタイリングが目を引く
車両本体価格は900万~2500万円という超高級車だ
いかにも上品に見えつつも、それとは似つかわしくない迫力のある排気音やスーパーカーとしての荒々しい動力性能を持つ

これまで輸入車の中でも特に「ニッチ」な存在だったが、最近では変化が見られる
東京都心のほか、地方の主要都市などで「以前に比べてその姿を見かけることが増えた」と話す自動車好きの声がよく聞こえてくることだ
これは決してこれは気のせいではない
2003年に134台にすぎなかったマセラティの日本国内販売は2015年に1449台とこの10年余りの間に10倍以上に膨れ上がった
特にここ2~3年で3倍近くの急成長を果たすなど、分母はまだまだ小さいながらも日本の超高級車市場での存在感が高まってきている
マセラティはもともと1960年代前半にメルセデス・ベンツやロールスロイスとは一味違った、4ドアの初代クアトロポルテをラインナップしていた
運転手付きで後席に乗る「ショーファードリブン」ではなく、オーナーがみずからステアリングを握ってドライビングを楽しむ「ドライバーズカー」、いわば「4ドアスーパーカー」の元祖だ

 販売台数を大きく伸ばしている

2013年に発表されたクアトロポルテ、ギブリの現行モデル登場以後、マセラティは世界的にも大きく販売台数を伸ばしている
1998年には全世界でたったの629台だったが、2014年には3万6448台へと躍進した
15年で50倍以上の成長だ
ギブリが1000万円を切る戦略価格を打ち出したことが大躍進の大きな要因でもある
これは今までのマセラティではできなかったことの一つだ

2016-03-01ギブリディーゼル2_0

その経営母体は創業以来、幾度となく移り変わり、厳しい時期も経てきた
ラグジュアリーなハイパフォーマンスブランドとして復活するきっかけになったのは、1990年代終盤にフェラーリへ傘下入りした後、日本の工業デザイナー奥山清行氏がスタイリングを担当した先代のクアトロポルテの投入である

2013-07-30MASERATI_0

先代クアトロポルテは大いに注目されヒット車になったものの、直ちにマセラティの経営状態を健全にするほどのインパクトはなかった
そもそも親会社であるフェラーリは大量生産を得意とするメーカーではなかったから、マセラティが生産台数を増やしても原価が下がらず粗利が取れなかったし、需要に見合うだけの台数を速やかに作ることも難しかった

そこでさらに行われたのが、2005年にフェラーリ親会社のフィアット直轄となったのをきっかけとした生産・販売面の大きなテコ入れだ
イタリア・トリノに大量生産を可能とする完成車工場を2拠点設け、マラネッロのフェラーリ社内にはエンジン生産のためのラインを構築し、全世界的な販売網を再構築した
それまでの少量生産メーカーには見合わない巨額投資が実行されたワケをマセラティ経営陣に聞くと、「投資シミュレーションをしてみたら、年間数万台を売らなければ採算が見合わないということから方針を転換した」という
イタリア流のポジティブさにあふれているものの、相当強気な経営戦略だ
近年は車種バリエーションの拡充を進めている
今年3月2日、ジュネーブモーターショーで新型車「レヴァンテ」が発表された
ギブリをベースにしたSUV(スポーツ多目的車)だ
コンセプトや価格などは、まさに同じくSUVのポルシェ「カイエン」をターゲットとしている

もともとマセラティはフェラーリやランボルギーニと違って、4ドアセダンがブランドを代表するモデルのひとつだったため、SUVとの親和性は比較的高かったが、これまではSUVに必要なAWD(全輪駆動=4輪駆動)や背の高いボディなどを製造するリソースがなかったことから、コンセプトモデルにとどまってきた

 SUVがどう作用するかは投入にあたり議論された

さらにはマセラティというブランドにとってSUVという存在がどのように作用するか、という点もレヴァンテの投入にあたっては議論されたという
ただ、カイエンのヒットでマーケットのイメージも変わり、ここが商機と判断したようだ
このレヴァンテのためにFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)の本拠であるトリノ・ミラフィオーリ工場をリノベーションし、大量生産を可能とする製造ラインが新設された
ギブリをベースにするといってもシャーシやサスペンションなども少なからぬ部分が新設計され、インテリアなども主要パーツは専用のものだ
レヴァンテは、車高を自由にコントロールできるエアサスペンションや、背の高いボディでありながらも良好な空力特性を持つ形状や、空力デバイスの設定など、よく観察するとかなり本気で作られていることがわかる
もちろんマセラティ伝統の「いい音」が生かされた排気音も健在である
フロント部には発売が予定されているクーペモデル「アルフィエーリ・コンセプト」で見られたスポーティなモチーフが効果的に用いられている
ジュネーブでもなかなか評価は高かったし、先行公開された画像を見て少し懐疑的であった私もこれはなかなか良いと感じた
今年3月にはギブリのディーゼルエンジン搭載モデルが日本市場にも投入された
マセラティ流の存在感ある排気音を演出しているところなど、なかなか個性的なモデルではある

2016-03-01ギブリディーゼル1_0

少し前ならマセラティという伝説のレーシングカーを生み出した「エンジン屋」がディーゼルエンジンを載せるといったら、熱心な愛好家は暴動を起こしかねなかったかもしれない
時代は変わった
拙著『フェラーリ・ランボルギーニ・マセラティ 伝説を生み出すブランディング』(KADOKAWA)で詳しく解説しているが、モデナというフェラーリ、マセラティ、ランボルギーニを生み出した「スーパーカーの聖地」ではもっぱら高付加価値の少量生産というビジネスモデルが歴史的に主流だった
フェラーリもランボルギーニも年間数千台しか販売せず、その売価をじわじわと上げて行く戦略だ
対してマセラティは明確に舵を切った。まだ年間5000台程度しか売れていなかった2010年に年間5万台のメーカーへの変身を公約していたのだが、この目標をさらに上積みして2018年までには7万5000台を目指しているという

 マセラティは長い歴史の中において転換期にある

つまりマセラティはその長い歴史の中において転換期にある。イタリア・モデナのローカルメーカーであり続けるという、それまでの企業理念と決別し、世界の競合メーカーとシェアを競う存在を目指している
このような発想がモデナ土着の中小企業である彼らの中から出て来たのには理由がある
いつでもどこでも紺色のセーター姿で登場するセルジオ・マルキオンネの存在だ
彼はFCA創始家の信任を得て、グループ内の自動車事業の立て直しに着手
クライスラーを飲み込み、瀕死のフィアットを復活させた
かつてのようなスモールカーを量産し利益を上げるメーカーとしてのフィアットから脱皮し、「Made in Italy」をアイコンとした高付加価値ブランドを主力商品とするメーカーへと変身することが彼の戦略だった
マルキオンネはグループ内のマセラティに目をつけた
かつてない規模の投資を行い
マセラティを世界に通用する「量産」ラグジュアリーブランドとするというプランだ
彼はFCAのCEOであると共に、マセラティのプレジデント、そしてフェラーリの会長でもある
「フェラーリの『独立』は何を意味しているのか」(2月7日配信)で解説したが、マルキオンネはフェラーリを株式上場させ、FCAグループから分離させた
そして、この上場でFCAが得た資金がこのマセラティの拡大政策のための原資としても使われている

 マセラティは中規模のメーカーを目指している

マセラティは少量生産スーパーカーメーカーから、ポルシェのような中規模のメーカーを目指しているといえる
ただ、今までとはケタ違いの販売数量を目標とするにあたって、量産メーカーとどう差別化するかというジレンマも抱える
愛好家がニッチでレアな車を愛していた側面を無視するわけにはいかない
マセラティにはフェラーリの株式上場で得たFCAグループの資金が投入され、グループ内における存在感をさらに強めていくことになるはずだ
フェラーリがFCAグループからスピンオフしたことにより、状況次第ではマセラティが、それまでグループ内でフェラーリの聖地であったミッドマウントエンジンの本格的なスーパーカーをラインナップすることもあり得る
一方でフェラーリもV6の廉価モデルを用意しているという噂もあるし、ランボルギーニもSUVマーケットへの参入を表明してもいる
モデナのスーパーカーメーカー全体も大きく変化している
拡大路線を歩んできたポルシェは今や年間19万台規模まで到達している
そのために廉価モデル、4ドアモデル、SUVとカテゴリーを増やしてきたが、彼らが悩んでいるのはスポーツカーメーカーとしてのブランドイメージをどのように維持するかということだ
ポルシェ全体の中でSUVのカイエン・ファミリーが圧倒的な比率を占める現在、ブランドの核となる「911」シリーズの存在が霞んでしまいかねないのだ
マセラティも今まではモデナ産の手作りモデルという希少性を売っていたメーカーである
それが主力車種の生産がフィアット所有のトリノ工場で大量生産となると、その希少性が薄まりかねない
マルキオンネは「年間75000台以上マセラティは作らない」と、拡大政策の途中にも関わらず、先手を打って希少性についてコメントしている
売れることはよいことだが、それによってブランドカラーが変わってしまう危険性をはらむ
これはマセラティの今後に向けた大きな課題であろう

2013-11-03クワトロポルテブログ
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[2016/12/02 09:22] http://www.valras-plage.net/xtreme-no/